突然ですが、もしあなたが「がん」を告知されたとしたらどう感じますか?
私たちJAMMINはフルタイム3人、その他多くのパートナーと一緒に進めているまだまだこれからのブランド。そして、著者は妻とまだ小さい娘がいて、まだまだ死ぬ訳にはいかぬ!と、思っています。
実際、宣告された時のことを考えてみたのですが、最初は真っ白になり、何も考えられなくなるシーンがパッと思い浮かびました。
次に考えが来るのが「これから」のこと。仕事のこと、家族のこと、お金のこと─、グルグル考えて前に進まず、結局どうしていいのかわからない─、正直、そこまでしか想像出来ませんでした。
あなたは、どうでしたか?
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ここで少し、目線を上げてみましょう。
現在、日本国内でがんの闘病者数は約150万人と推計され、3人に1人の死因ががんであるなど、多くの人にとって切っても切れない身近なテーマ「がん」。
この記事を目にしてくださる方の中にも、自身や大切な人が「がん」である方もいらっしゃっると思います。
そして、そうでない人も含め是非知って頂きたいのが、今週のチャリティー「NPO法人マギーズ東京」が進めるプロジェクト。知らなかった新しい世界について、私たちJAMMINと一緒に学んでいきましょう。
(東京に建設中のマギーズセンターの完成予想図)
NPO法人マギーズ東京が建設するのは、病院外のがん施設「マギーズセンター」。2016年3月現在も東京・豊洲で建設が進み、今秋のオープンを予定しています。
マギーズセンターは、英国と香港の全16拠点で既に開設され、東京の施設は英国外で2拠点目。
がん患者であった英国人のマギー・ケズウック・ジェンクスが、短い余命の中、安心できる場所を作ろうと、入院していたエジンバラの病院の敷地内の小屋を改装して、マギーズセンターの前身を作ったのが始まりです。
マギーズセンターの特徴は、予約不要で誰でも利用可能であること。がん患者や家族、友人、医療者が、迷ったり落ち込んだりした時に、訪れることが出来ます。
そして、施設の利用料は、全て無料。運営費用は寄付によって賄われ、東京ではNPO法人マギーズ東京が施設運営を行います。
そもそも、なぜこのような施設を日本にも作ろうと思ったのでしょうか。NPO法人マギーズ東京の代表お二人に話を伺いました。
まず代表の一人、NPO法人マギーズ東京 共同代表理事の鈴木美穂(すずき みほ)さん。
在京テレビ局の報道記者として、活躍していた社会人3年目の24歳の時、たまたま自分の胸に「しこり」を見つけ病院へ。そこでがんであることを告知されます。
「がんを告知された時は“お先真っ暗”という感じでした。私は結婚や出産もすることなく死んでしまうかもしれない─、常に絶望感と喪失感を感じていました。その後、うつ状態になり不眠にもなりました。
さらに立て続けにやってくる、手術や抗がん剤、放射線、ホルモン療法、分子標的治療など、治療のフルコースと、闘病期間の辛さと苦しさで、生きることを諦めそうになったことが何度もありました。
特に“将来の自分”がイメージ出来なかったことが、一番辛かったです。
(闘病中だった頃の鈴木さん)
何とか気持ちを持ち直しながら治療を続け、退院することに。その後、闘病中に知りたかった事をまとめて、若くしてがんになった人向けの情報をフリーペーパーとして作るなど、地道に活動を続けていました。
活動を続ける中で、色々な情報に触れ、同じような経験をする仲間に出会うことが出来ました。
もし、こうした体験を自分が闘病中にできていれば、あんなに大変な想いをしなくて済んだ─、そう考えるようになっていました。
そうした想いを抱える中、2014年にがん患者が集まる国際会議に参加する機会があり、マギーズについて初めて知ることになります。
これこそ、私が闘病中から必要と感じていたこと、様々な活動の先に“いつか造りたい”と思い描いてきた夢のような施設─、そう感じたことを覚えています」
もう一人の代表、NPO法人マギーズ東京 共同代表理事の秋山正子(あきやま まさこ)さんは、看護師として臨床に関わった後、訪問看護の事業をスタート。がんの治療が変化していく様子を現場から20年以上支えてきました。
「課題意識の1つ目として、がんの治療方法は、“入院から外来”へとシフトしてきたことがあります。治療に関する身体の負担を減らすため、入院時間を短く出来る外来治療が中心となってきたのです。
実際、治療成績(効果)は上がってきました。しかし、外来患者が増えているので、ゆっくり話を聞いてもらったり、悩みを相談する時間が圧倒的に少なくなっています。
1回の外来の時間は5分ほどしかありませんし、治療方法について不満があっても、病院内で話をすることは気が引けるものです。
そうした現状を変えようと、がん患者の国会議員が中心となり、がん対策基本法が平成18年に成立します。がんの専門病院内に“相談支援センター”の設立が進み、現場は変わるかと思われました。
しかし、相談支援センターは予約が必要だったり、利用も30分以内と使いづらく、ひどい場合にはセンターの存在自体が知られていないこともあります。上手く機能していない─、そう感じています。
2つ目の課題意識として、1992年から始めた訪問看護の現場ではがん患者さんの旅路の“最後の部分”になってからしか、訪問看護につながってこないことに葛藤を感じていました。
例えば、がん患者には治療について様々な選択肢があります。そのことを、もっと初期の段階で知ったり、考えたりする機会が必要─、日々患者と接する中で感じていました。
そんな中、マギーズセンターについて知ったのは、2008年。これは素晴らしい活動─、と感銘を受け、マギーズセンターのコンセプトを継承した「暮らしの保健室」を新宿に開設し、地道にがん患者や家族、医療者のための活動を続けていました。
(暮らしの保健室内の様子)
そして、2014年、マギーズセンターの活動を知ったがんの体験者である鈴木から、一緒に施設を作ろうと声をかけられます。
若い力と合わせて動けば、現状を変えられるかもしれない─、と思いマギーズ東京の建設プロジェクトを始めることにしました」
(現在も建設が進むマギーズセンター)
マギーズ東京は、現在建設中の状態。そして、2020年までのパイロットプロジェクトとして進んでいます。今後について、秋山さんは「日本中にマギーズを作りたい」と言います。
「私たちの活動を見て、石川・金沢や広島、京都でマギーズを作りたいという声を頂いています。病院外の建物という具体的なモノとして、マギーズセンターがあることの意味を感じてくれているのだと思います。
今年、東京・豊洲でパイロットプロジェクトをスタートしますが、まだ始まったばかり。運営に強い責任を感じています。
そして、皆さんと一緒にマギーズセンターのコンセプト、“がん患者と家族や友人が、とまどい孤独なとき、自分の力を取り戻し、前向きに歩むきっかけとなる場所”を拡げていきたいと考えています」
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マギーズ東京の想いや活動、いかがだったでしょうか?
マギーズ東京は、がん体験者の鈴木さん、医療者の秋山さんの当事者たちが作るがん関連施設という意味合いだけではないような気がしています。
それこそ、日本中の今までがんと向き合ってきた人や医療者たちの「みんなの想いが詰まった」憩いの場─、そう感じています。
最後にマギーズ東京からのメッセージを紹介します。
「今回のチャリティー・キャンペーンを通じて、マギーズ東京について知って頂くだけでなく、がんというものに興味を持って頂く機会にしたいと考えていました。
一人でも多くの人が、がんと共にあっても自分らしい暮らしについて、考えてもらうきっかけになれば嬉しいです。
チャリティー・アイテムのデザインには、以下のような意味を込めました。
Cancer Journey(がんの旅路)の全ての過程に寄り添い、 不安な時、苦しい時、心配な時、迷う時、 がんにかかわるすへての人がマギーズセンターへきて欲しいという意味
マギーズセンターは、道=がんの旅路、木=突然雨が降った時(突然病に襲われた時)、そっと木の木陰で休息をとり、寄り添うことにより、休息や安らぎを与えられる場所にしたい
今週お預かりするチャリティーは、この秋オープンするマギーズ東京の運営費用として大切に使わせて頂きます。
チャリティー・アイテムを通じて、一人でも多くの人にマギーズのような居場所があることを知ってもらえるよう、応援のほどよろしくお願いします」
TEXT BY KEIGO TAKAHSHI
(地鎮祭に臨むマギーズ関係者の方々)
【 THANKS MESSAGE 】NPO法人マギーズ東京 から御礼とメッセージ | JAMMIN(ジャミン)
法人名:特定非営利活動法人マギーズ東京
活 動:東京に事務所を構え、がん患者とその家族・友人がとまどい孤独なとき、自分の力を取り戻す居場所作りを進める非営利法人。
H P:http://maggiestokyo.org