CHARITY FOR

NPO法人日本ブラインドサッカー協会

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(TEXT BY KEIGO TAKAHASHI)

あなたは、目を瞑って街を歩いたことがありますか?

JAMMINでも以前、NPO法人モンキーマジックさんという、視覚障がいを抱える方がクライミングに挑戦するというNPOを紹介しました。

NPO法人モンキーマジック | JAMMIN(ジャミン)

その時に試しに街を目を瞑って歩いてみよう!と勝手に挑戦したところ、交通量の多い道路、電車のホーム、普段の買い物、何気なくする日常がこんなにも大変だったなんて!と思い知らされる結果になりました・・・。

見えない向こう側との架け橋となるNPO

今週のチャリティーは、NPO法人日本ブラインドサッカー協会(以下、JBFA)。

JBFAは、ブラインドサッカーを通じて、視覚障がい者と健常者が当たり前に混ざり合う社会を目指す非営利法人。ブラインドサッカー日本代表の強化事業や、国内の競技者・指導者の育成、ブラインドサッカーの普及・啓蒙活動などを行なっています。

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(JBFAが開催する体験イベントの様子)

そもそもブラインドサッカーとはどんな競技なのでしょうか。簡単に言うと、目を使わず声と音でゴールを目指すサッカー。以上!と言うのは言い過ぎなので、ちゃんと説明していくと、

  • 4人のフィールドプレーヤーは、全員アイマスクを着用。全盲と言っても光を感じる人と感じない人(光覚のある人とない人)がいるため。国内大会は晴眼者も参加可能。
  • 監督・ガイド・は晴眼者または弱視者がつとめます。ガイドとは、攻めるゴール裏でゴールやボールの位置などの情報を伝える人。
  • ボールの位置は転がすと音が出るボールで把握。ガイドが声で発する情報も聞こえるよう、応援している人は声を出さず固唾を飲んで見守る!→ゴールが決まれば歓声があがり!→プレーヤーも大喜び!

というスポーツです。

様々な動画がアップされているので、youtubeなどで是非チェックしてみてくださいね!

プレー動画を見た感想は「すごい迫力!」の一言。特にサイドにはライン沿いにフェンスがあるのですが、この攻防はアイスホッケーのような格闘技的要素を感じます。

衝突防止のために、ボールを奪いに行く時には相手に位置を知らせるために「ボイ!(スペイン語で“行く”)」と言う必要があるのですが、声と身体を使い攻防する様子は、見ていて「すげー!」と感じるポイントの一つです。

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(壁際でボールを取り合う様子)

JBFAが「クリエイティブ」にこだわる理由とは

JBFAの事業の特徴の一つに、クリエイティブに力を入れている点があります。こちらが過去に制作したポスター。「えっ」と目を引く仕上がりになっています!

どのような考えを持って取り組んでいるのか、事務局長の松崎英吾(まつざき えいご)さんに、JAMMINの高橋が話をお伺いしてきました。

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(松崎さん。学生時代に偶然に出会ったブラインドサッカーに衝撃を受け、深く関わるようになる)

高橋
JBFAさん、イケてるポスターが多いですね!
松崎
ありがとうございます。2009年のポスターでは、「目じゃない」をコンセプトに、世界に勝つのは楽勝だ! 目を使ってないなど色々な意味が持たれたポスターを作成しました。

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(2009年に作成されたポスター。まさかの釜本氏!)

高橋
障がい者スポーツはナイーブな表現が求められる世界だと思っていたので、結構大胆ですね。
松崎
確かに、批判を頂いたこともありました。ただ、こうしたクリエイティブをする目的は、視覚障がいを取り巻く「健常者」の意識を変えるためでもあります。私たちのビジョン「健常者と障がい者が混ざり合う社会」を実現するためにやっているんです。
高橋
確かに、当事者の方はポスター見えない方もいますからね。
松崎
そうですね(笑)。実際、2009年の国際大会は5日間で500人の集客だったのですが、昨年開催したアジア選手権では1日で1,800人もの人が観戦に来場され、効果を実感しています。

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(渋谷で開催された国際大会の様子)

松崎
あと、重要なポイントは、そもそも、障がいって深刻な場面でしか出会えないということがあります。
高橋
それ、どういう意味ですか?
松崎
例えば、大事な友達、家族が事故や病気で障がいを持つ。決して笑ってる場合ではないですよね。でも障がい者スポーツには、競技を通じてそこに笑顔がある。笑って障がいを知れる場を私たちが持っていることも、クリエイティブに力を入れている理由です。

「凄いんです!」と話すだけでは魅力が伝わらない日々

フィールドでの迫力や、クリエイティブの成果が実を結び始めたJBFA。当初の活動では苦労が絶えなかったとも教えて頂きました。

高橋
なんだかJBFAさんは順調に成長を続けてきた!という印象を受けるのではが、スタッフの人数が少なかった頃、どんな感じだったんですか?
松崎
最初は2〜3人だった頃はみんな何でもやるという感じでした。私は主にアウトリーチ活動、企業のサポーターさん探しをしていました。
高橋
私も営業に行くことがあります! 電話したり訪問する中で、心が折れそうになったりすることってないんですか?
松崎
10年前は200件電話して、3件が話を聞いてくれて、やっと1件交渉のテーブルにつける、という感じでほとんど相手にされませんでした。
高橋
そうだったんですね!全く今のお話ぶりからは想像出来ないので、相当努力されたんですね・・・見習います!笑
松崎
今思うと、企画書の内容だったり、営業で話をするメッセージが弱かったりしてたんですね。「凄いんです!現場へ来てください!」としか言えてなかったと思います。今はそんなことないですけどね笑。

様々な障壁を乗り越えて目指す未来

高橋
2020年には東京でオリンピック、パラリンピックが開催されます。2004年のアテネ大会から正式種目になったブラインドサッカーにはより多くの注目が集まると思うのですが、何かこれからやってみたいことってありますか?
松崎
2020年のちょっと先を見ています。2024年にはブラインドサッカーの世界大会があるので、まず日本代表を世界一にしたいですね! そのためには強化はもちろん、育成システムを含め強くあり続けるシステムが必要です。
高橋
なでしこジャパンもW杯で世界一になって大きく環境が変わりましたもんね。メディアの露出が増え、観客が増え。最近はちょっと結果が出てないですが・・・
松崎
世界で勝つから注目が集まる→知名度が上がるって、僕は全く信じてないんですね。あくまで競技の強化と普及啓発は別物だと思っています。
高橋
えー!面白い考え方ですね。
松崎
勝った瞬間に盛り上がることは同じですが、その時に競技団体側が注目に耐えうる仕組みを持っているかどうかがポイントです。
例えば、国内リーグをお客さんが見に来てくれるかどうか、育成・強化のシステムがあって競争力を維持出来るかどうかなど、私たちが2020年の東京パラリンピックを超えて盛り上げて行くために、必要な準備をしていきたいですね

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最後に

JBFAの活動や想い、どう感じましたか?

個人的に思うのは、ブラインドサッカーを取り巻く環境が、LGBTに関する動きと似ているということ。

多くの人が関心を持つようになるずっと前から、現場で奮闘するNGO/NPOの方々が不断の努力を続けてきていて、今まさに「変化」が起き始めている。

社会が悪いと愚痴を言うのではなく、戦略を持って「変化」を起こす重要性を改めて認識しました! だからこそ、今まさに応援すべきテーマだと信じています。

最後に、JBFA事務局長の松崎さんからのメッセージを紹介します。

松崎
ブラインドサッカーとのオススメの関わり方は2つ。観戦と体験です。障がい者スポーツを自身で体験することで、気がつくことがいっぱいあります。皆さんも年を取れば必ず身体の機能は低下するので、将来の自分を知るという意味でも、ポジティブに参加できる機会として、ブラサカの体験イベントを是非チェックしてみてくださいね。
松崎
チャリティーアイテムのデザインでは、フィールド上を自由に、そして勇敢に駆ける選手を、空を自由に飛びまわる鳥になぞらえ、様々な種類の鳥の羽を描いて頂きました。
そして、ご購入ごとにつくチャリティーは、選手の強化はもちろん、より多くの人にブラインドサッカーの体験・観戦を通じて「混ざり合う社会」の価値を伝えていくために、大切に使わせて頂きます。
是非、私たちの活動をモチーフとしたチャリティーアイテムを通じて「障がい者と健常者が混ざり合う社会」作りの応援のほど、よろしくお願いします!

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(PHOTO BY JAPAN BLIND FOOTBALL ASSOCIATION)

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